なんで大丈夫だと思っていたんだろう

我が家の女性はなぜか化粧をしない人が多かった。母も祖母も特に理由を語らないが、基礎化粧はおろか、化粧水や乳液という日々のお手入れレベルのものすらしていなかった。だから私は化粧の仕方を知らないで育ったし、大人の女性が化粧をしていない状態がそんなにひどいことだと思っていなかったところもある。

 

しかし、社会人になり、若い女性としてそれなりにファッション誌等を読むと、化粧は最低限の身だしなみとある。社会人になって色々と常識を知らないことに気が付かされたが、あまりに知らなさすぎたため逆に誰に聞けばいいのかわからなかった。そんなことを気軽に聞けるような友達もいなかったし、自分に自信もなかったので、対面で購入する化粧品売り場を訪れる勇気もなかった。雑誌に出ているものをなんとかドラッグストアでそろえた。

 

色味もあっているのかわからないまま、とりあえず平均的なものを短時間で選び、逃げるようにして帰った。何回か自宅に帰って練習した。化粧品のパッケージに記載されている適量を使用すると、見慣れない自分になってしまうので量を減らし、調整した。結果、そんなに普段と変わらないけれど一応化粧をしていることがわかる程度の自分にとってほどよい加減を見つけることができた。

 

自分の中で、素顔とあまり変わらないなあ等と思いつつ。ある夏の日のお昼。普段は室内での事務仕事がメインだったが、お使いに出ることになった。15分ほどのところに行って帰る。たいしたことない、とあまく見ていた。5分ほど歩くと顔に汗をかき始めた。流れる前にタオルハンカチで抑えるようにしていた。今思うとそのタオルハンカチがベージュだったのもよくなかった。

 

届け物をして帰り、その後はいつものように事務仕事をこなして帰宅。家に帰り、ふと鏡を見ると・・「眉がない。」。そして右ほほと左ほほの色が異なったうえにまだらになっていた。タオルハンカチで抑えるたびにファンデーションが落ちていたのだ。下地を使用せずいきなりファンデーションを塗っていたこともあり、汗で随分あっさりととれたらしい。

参照: 化粧崩れしないファンデ・方法は?※顔汗止めたいんだけど

でも、色がベージュだったために落ちたことにも気が付いていなかったのだ。「半日この顔で過ごしていたのか」と思うと愕然となった。職場では事務なのでそんなに人に会うことはなかったけれど、当時電車通勤だった。電車ではそれなりの人数にあっているはずだった。

 

落ちても素顔と変わらないから、なんて今思うとよくわからない自信をもっていたこと、鏡を見るのが好きでなかったからチェックを怠っていたこと、ちゃんと教えを乞うていなかったこと。このために随分と恥をかいてしまった。化粧は自分のためというより人のためなんだと思って、客観的な意見を聞ける人や場所をちゃんと持っておくべきだと勉強させられた出来事だった。